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篠突く - 禁断の果実 -
第12章 過去編五話 初めての
一度外れた箍は、そう簡単に元には戻らない。理性という名の杭を抜き、彼らは開けてはならぬ禁断の扉を叩いてしまった。扉は、来る者を拒まぬ。だが、一度入ってしまったら最後。それが見せるのは、夢ではなく、容赦のない現実だ。
篠突く雨のようなセックスは、五分も経たずに終わりを告げた。孝哉が射精したのである。
ドク、ドクと波打つ感覚が、ゴムを通して悠にも伝わってきた。白濁とした熱いそれがたっぷりと注がれた後、切ない音を立てて悠の奥底から離れていく。
陰茎を抜き、悠を強く抱きしめていた腕を緩める。眼前に広がったのは、目を伏せ、頬を紅潮させた彼女の端正な顔。だが、その頬に残る涙の跡が目に留まり、孝哉は息を飲んだ。夢心地だった彼は、一気に現実へ引き戻された。
――結局、自分本位のセックスをしてしまった。彼女の寛容な心に甘えてしまった。
己を包んでいた女の証に目を向ければ、たらりとシーツに垂れた赤黒いもの。
女性は、初めての性交で膣から出血することがある。だが、それは全ての人に当てはまるわけではない。出血しない人もいれば、二度目、三度目の行為でも血が出る人はいると聞く。
無理をさせてしまった。我慢をさせてしまった。姉は、弱音などめったに吐かない人だ。大丈夫かと問えば、大丈夫と答える人だ。