この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
淫欲の果てに。人妻・怜香32歳の記録
第1章 淫欲に導かれた少女の頃
真仁とのセックスがなくなり2年ほど経った頃から、私たちの関係は単なる同居人のようになっていた。
決して夫婦仲が冷え切っているわけではない。しかし、身体の触れ合いがなくなると共にすれ違う時間も多くなっていく。私が大きな風邪をひき、大きな仕事を控えていた真仁への感染を避けるため別々の部屋で就寝するようになったことをきっかけに、今日まで同じベッドで眠ることはなくなっていた。
ケンカや衝突をしたわけではない。お互いのどこかに、大きな不満があるわけでもない。今日まで一緒に暮らせてきたということは、それなりに家族として相性の合うところがある、ということだろう。
だがそんな毎日を過ごす中、私は得体の知れない不全感を抱えるようになっていた。
私の生活は、適度な仕事、セックスはないけれど平均以上の収入のある夫、優しい両親…完璧ではないかもしれないけど十分恵まれている。すべてが完璧で、何の不満もない人間など存在するはずがない。
私の毎日に、特段の苦労などないはずなのに。
「何かが足りない」という思いが、胸の奥底に渦巻いている。
私はまだ、魂が打ち震えるような、そんな激しい経験をしたことがない。
自分をというものを揺るがすほどの、感情、体験。
もしかして私は、人生で体験できるあらゆる出来事のほとんどを、知らずに過ごしているのではないか。
ただただ漫然と過ぎていく日々。何かを求めているのに、何かが欲しいのに、その正体が一体何なのかわからずにいる。
そんな思いを抱え続けるうち、私の心には小さな澱みがぽつりぽつりと降り積もってゆき、それは次第に大きく積み重なり、私の中の大部分を占めるようになっていった。
決して夫婦仲が冷え切っているわけではない。しかし、身体の触れ合いがなくなると共にすれ違う時間も多くなっていく。私が大きな風邪をひき、大きな仕事を控えていた真仁への感染を避けるため別々の部屋で就寝するようになったことをきっかけに、今日まで同じベッドで眠ることはなくなっていた。
ケンカや衝突をしたわけではない。お互いのどこかに、大きな不満があるわけでもない。今日まで一緒に暮らせてきたということは、それなりに家族として相性の合うところがある、ということだろう。
だがそんな毎日を過ごす中、私は得体の知れない不全感を抱えるようになっていた。
私の生活は、適度な仕事、セックスはないけれど平均以上の収入のある夫、優しい両親…完璧ではないかもしれないけど十分恵まれている。すべてが完璧で、何の不満もない人間など存在するはずがない。
私の毎日に、特段の苦労などないはずなのに。
「何かが足りない」という思いが、胸の奥底に渦巻いている。
私はまだ、魂が打ち震えるような、そんな激しい経験をしたことがない。
自分をというものを揺るがすほどの、感情、体験。
もしかして私は、人生で体験できるあらゆる出来事のほとんどを、知らずに過ごしているのではないか。
ただただ漫然と過ぎていく日々。何かを求めているのに、何かが欲しいのに、その正体が一体何なのかわからずにいる。
そんな思いを抱え続けるうち、私の心には小さな澱みがぽつりぽつりと降り積もってゆき、それは次第に大きく積み重なり、私の中の大部分を占めるようになっていった。