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方違えた教師
第3章 プロローグ2 正樹
正樹は個人面談に向け、家庭調査票や成績表を元に受け持っている生徒について再確認をする。

現在担任を受け持っているのは高校一年生。
まだ受験が先のため、揉めることは少ない。
しかし、入学して初めての個人面談のためより生徒の様子をひとりひとり把握する必要がある。

以前、女子生徒の一部が
「あの先生、あの子贔屓しすぎだよね」
「イケメンでもないのに、可愛いこばっかり話しかけてるよね」
「身の程わきまえなっつーの」
という、教師に対する陰口を聞いてしまった。

決して彼女たちのいうイケメンではないが、そんなに見た目は悪くない。
そう思いながらも、そもそも30歳をを超えた自分など彼女たちからすればおじさんだろう。

以来、受け持った生徒は限りなく平等に把握することに注力するようにしている。
目立つ生徒の情報は適度に抑え、目立たない生徒はほかの生徒と同じくらい普段の様子を気にするようにしている。

事なかれ主義と言われてしまえばそれまでだが。

両親とも公務員で、子供の頃から堅実であることを求められた。
特にそれが嫌だったわけでもなく、母親と同じ教師という職を選択し自分も公務員となった。

想像以上に教師という仕事は忙しく、出会いといっても校内の同じ教師。
立場上、なかなか恋愛対象として見れず大学時代の彼女と数年前別れて以来相手がいなかった。

そして30歳という節目を境に、両親から早く結婚しろと言われるようになった。
先日実家に戻った時にはとうとう見合いの写真と釣書を手渡された。

相手は父親の後輩の娘で、市役所に勤める28歳の公務員。
なんでこんな若くてきれいな人が見合いなど・・・と思いつつも、このままでは結婚どころか誰かと付き合うことすら危ういことを自覚しているため素直に両親に従い見合いをすることになった。

(いや、今は個人面談のことに集中しよう)
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