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方違えた教師
第3章 プロローグ2 正樹

そうして、ひとりひとり丁寧に確認しながら、とある生徒の調査票を見る。

(中山智美か・・・)

いつも控えめな印象の生徒。何事にもコツコツ丁寧に向き合っているが、人間関係が希薄すぎる。
友人と話をしているところを見たことがない、いや友人が誰かすら。
心配になり気にかけたが、本人も気にする様子がなくいじめを受けているわけでもないので様子を見ている。

自分が顧問をしている文芸部に所属しているが、それほど活動はなく図書室に集まったメンバー内で自主的に情報交換している程度だ。
顧問など名ばかり。
とはいえ、受け持った以上こまめに図書室に顔を出し様子を見たりはする。

そのたびに彼女は源氏物語に関する本を読んでいたのを思い出す。
自分が古典文学専攻だったのもあり、とても印象的だった。

物静かな彼女が古典に興味を持っているという納得感と、その書物が女性を渡り歩く話である源氏物語というギャップ。
でも、なんとなく彼女らしい。
そんなことを考えつつ仕事を再開した。
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