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君がため(教師と教育実習生)《長編》
第6章 【回想】里見くんの願望

「……ちょっと、目にゴミが入っちゃって」
「これ、小夜先生の彼氏?」
隠し持ってきていた二人の写真を、床に落ちた写真のように装って、一枚、小夜先生に渡す。
先生はいつの間に落ちたのだろうと、俺が持ってきたことを疑うことなく、慌てて写真を取り返す。
そして、ため息をつきながら、写真を机に裏返して置く。
まぁ、見たくない、よな。
「それ、うちの生徒だよね? 隣のクラスの、確か――」
「やめて!」
それは強い拒絶の声だった。発した本人が一番驚いて、「あの、そうではなくて」としどろもどろになる。
「ごめんなさい、その、今日は、仕事があるから、帰ってくれる?」
「……はい」
小夜先生を怒らせてしまったと思った俺は、素直に従う。
先生との関係はまだ変えたくなかった。
小夜先生を抱きしめて愛を囁くなんて真似は、高校生の俺にはまだハードルが高すぎた。
「でも、もし、それが小夜先生の彼氏なら――」
これだけは、言わせて欲しい。
あの男は、小夜先生には似合わない。
絶対に似合わない。
「――先生は、男を見る目がないよね」
だから、早く俺の彼女になって。
小夜先生の、曖昧な笑みだけ、焼きついて離れない。

