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君がため(教師と教育実習生)《長編》
第7章 しのちゃんの受難(四)

いい匂い。
何の匂いだろう? トマト? コンソメ? 美味しそうな匂い。
んー、お腹空いてきた。
目が覚めるたびにペットボトルの水を飲んでいたので、頭痛もだいぶ落ち着いてきた。
起きようかどうしようかとゴロゴロしていると、ノックの音がして、里見くんの声が聞こえる。
「小夜先生」
「は、はい」
ひょこりと里見くんが顔を出す。隙間からさらにいい匂い。あ、トマトだ。
「トマトソースのスパゲティ作りましたが、食べますか?」
「食べます!」
作ってくれたの!?
飛び起きそうになって、パジャマであることを思い出す。
一度見られているのだから、構わないとは思うけれど、少しだけ残った羞恥心が邪魔をする。
「じゃあ、起きてくださいね」
「はい!」
閉められたドアを確認してから、ベッドから降り、クローゼットを開ける。
Tシャツにホットパンツを合わせようとして、やめる。さすがに、部屋着のホットパンツはまずい気がする。スカートも却下。
だって、相手は里見くんだし。油断大敵。
膝下のクロップドパンツを取り出す。これでいい。いや、これがいい。
パジャマを脱ぎ捨てて、ショーツ一枚で服を着る。
「あ、そうだ、小夜先生」
「!!」
「あ、失礼しました。粉チーズはありますか?」
「……冷蔵庫の右側のポケットにあります」
ドアを開けた里見くんに気づいた瞬間に、慌ててブラトップを着たけれど、着たけれど!
まだ、ショーツにブラトップだけだったんですけど!
絶対に、わざとだ! 里見くんめ!

