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君がため(教師と教育実習生)《長編》
第8章 【回想】里見くんの失恋

 小夜先生はしばらく悩んだあと、微笑んだ。
 そして、彼女は俺を――見えない鎖で、縛り付けた。

「里見くんが、大学を卒業して無事に社会人になったら、ようやく私と対等です。あと五年後にまだ私のことを覚えていたら、また口説きにきてください」

 五年後。
 遠い未来の話だ。
 その間に、小夜先生が高村礼二と結婚しないとは限らない。他の男から求婚されないとも限らない。

 五年後。
 でも、五年待てば、彼女はきっと、考えてくれる。求めたら応じてくれる、そういう人だ。

「わかりました。五年後に、また来ます」

 その間に、自分を磨こう。
 子どもだからと門前払いされないくらい、魅力的な人間になりたい。彼女と対等になれるくらいに、大人になりたい。

 時間はまだある。
 先生をすぐに口説き落とせるくらい、自分を磨こう。

「ありがとう、ございました」

 小夜先生の寂しげな笑顔だけ胸に刻んで、俺は一年間通いつめた国語準備室を出る。
 悔しいけど、今の俺では小夜先生の隣には立てないということだ。

「……あ」

 ポケットに忍ばせていたルビーのピアスは、結局、渡せなかった。
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