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君がため(教師と教育実習生)《長編》
第10章 しのちゃんの受難(六)

 小さな防水スーツケースに研修用の資料と着替え、洗面道具などを入れて準備完了。
 荷物はそこまで多くないけど、鞄にぜんぶは入り切らないし、向こうでさらに書類をもらうので、スーツケースを転がしていくのだ。
 明日と明後日は静岡は雨。防水用が好ましい。そろそろ梅雨入りになるかもしれない。

 ほぼ二日いないので、作り置きをしてある料理は今日食べ切るか、冷凍保存しておかないといけない。
 ほうれん草のおひたしは今日食べ切ろう。
 賞味期限がギリギリのものを使って、麻婆豆腐に玉子スープ、豚バラとモヤシの味噌炒めを作る。栄養は気にしない、賞味期限だけ気にした、中華と和食の雑多な夕飯だ。

 お皿をテーブルに並べ終わったとき、ちょうどチャイムが鳴る。モニターで里見くんの顔を確認をして、ロックを解除。玄関も開けておく。

「こんばんは」
「里見くん、ご飯はたくさん?」

 お茶碗にご飯をよそいながら尋ねると、幸せそうな表情の里見くんが大きく頷いた。

「はい、大盛りで!」

 里見くんのお箸を準備して、里見くんの前にお茶碗を置く。テーブルを見ながら目がキラキラ輝いている。

「はい、どうぞ」
「いただきます!」

 里見くんは嬉しそうにご飯を頬張って、ポイポイとおかずを口の中に放り込んでいく。

「美味しい! 美味しいです。あ、この味好きです」

 食べるたびに絶賛してくれるものだから、じんわりと胸の奥があったかくなる。不思議。礼二はそんなこと言ってくれたことなかったから、とても嬉しい。
 美味しい、は、嬉しい。
 誰かが料理を食べてくれることも、嬉しい。

 私は里見くんと過ごすことで、小さな幸せを見つけてしまった。
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