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君がため(教師と教育実習生)《長編》
第10章 しのちゃんの受難(六)

「小夜。俺を求めて」

 熱く甘い低音に、私の体がびくりと反応する。
 その声、好き。

「お願い、小夜。俺を」

 枕にしがみついていた腕を、腰に向かわせる。私の腰をつかんでいる宗介の手に、私の指を絡ませる。
 私の行動に驚いたのか、一瞬手が震え、そのあとすぐに宗介はしっかりと繋いでくれる。

 首を曲げて、髪の毛の間から宗介を見つめて。苦しそうな恋人の表情に、私自身が煽られる。

「……俺を、欲しがって」

 そうだよね、求められたいよね。
「言われたい」から、「言ってくれる」んだよね。
 小夜が欲しい、って。
 彼だって、宗介が欲しい、って、言われたいに決まっている。

「そーすけぇっ」
「うん?」

 私ね、宗介のこと、嫌いじゃない。
 キスするのも、触られるのも、セックスするのも、嫌いじゃない。
 嫌いじゃないよ。

「……欲しい」

 わかる?

 さっきのおねだりと違うよ。わかる?

 イキたくて、楽になりたくて発した「欲しい」とは、全然違うよ。わかる?
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