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君がため(教師と教育実習生)《長編》
第2章 【回想】里見くんの決意

 俺の名前が「結城宗介」から「里見宗介」に変わったのは、母親の再婚が理由だ。弁護士だという新しい父親とは、彼の明るい性格もあり、最初から打ち解けていたように思う。

 それは、その新しい父親の意向で誠南学園高等部に外部編入することになり、まだその環境に慣れずに四苦八苦していた頃のことだ。志織と二人きりで出かけたのは。

 新しい父親には九つになる娘がいて、まだ懐いてくれているとは言い難い関係の状態だった。新しくできたその妹がショッピングモールで迷子になったので、俺は慌てていた。
 俺は繋いでいたはずの手を握りしめて、「志織」と呟いて走り出す。

 三階建ての巨大なショッピングモールは、やはり広い。子ども向けの売り場、婦人服紳士服売り場、ゲームセンター、専門店街……走り回って、くたくただったけど、両親に電話するのは躊躇われた。「お前がついていながら」と叱られたくはなかった。ちっぽけな意地だ。
 食品売り場と外食エリアへ行こうとしたとき、それは聞こえた。

『……里見志織様のお連れの方……、一階、インフォメーション前で……』
「志織!?」

 一階インフォメーションはちょうど一ブロック先だ。迷子センターのことは頭の中に全くなかった。盲点だ。

「しおりっ!」

 インフォメーションの前の椅子に、小さな影が見える。
 標準よりだいぶ小さくて細い志織は、父親の心配通り、内気で引っ込み思案な女の子で――。

「しお、り?」

 志織が笑っていた。屈託のない、無邪気な笑顔だ。
 椅子に座った志織の前に、誰かがいる。
 誰かは、志織に目線を合わせるようにしゃがんで、話しかけているようだった。

「志織っ!!」

 志織が肩をびくりと震わせて――泣きそうな顔で、誰かの背に隠れる。
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