この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
誰よりも君を愛する
第3章 開放
良雄がなぜ亜矢子と結婚する気になったのか?
自分自身わかっていた。
一人っ子だった良雄は何不自由なく育ち
両親から守られてきた。
特に母親からの溺愛には良雄自身うんざりすることもあった。
自分一人でやりたいことも手伝ってくれるような母親だった。
子供の頃のある日小さな弱った子猫を拾った。
汚いから捨ててくるよう母親に言われたが
コッソリ部屋で世話をした。
子猫は可愛いかったし
よく懐いてくれたしお世話は楽しかった。
『ボクがいないと子猫はダメなんだ、ボクが守ってあげなくちゃ!』
そういう生まれて初めて感じた無償の愛、献身的な母性愛のようなものが芽生え始めた頃、
子猫は母親に見つかり捨てられた。
ひとしきり悔し涙を流した良雄はまた母親からの溺愛という殻に閉じ込められて大人になっていった。
だから亜矢子が(おねしょ)をしてしまってシクシク泣いてる姿を見た時、ふとあの日の子猫の事を、そして守ってあげられ無かったことを思い出したからだ。
『亜矢子を守ってあげなくちゃ!今度はちゃんと最後までお世話してあげなくちゃ‥』