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獣戦記 §ju-senki§
第2章 レキザン


「ムツキちゃん元気でね・・・病気や怪我なんかするんじゃないよ・・・」
「あはは、大丈夫だよおばさん。おばさんも元気でね。」


「うぇ・・・ひっく、ひっく・・・ムツキ兄ちゃん・・・行っちゃやだよぉ・・・」
「ほらほら、二度と会えない訳じゃないから泣かないんだよ。たまには帰ってくるから、ね?」



里の人々がムツキを見送るために中央広場に集まる。
その中には昔からの友人やお世話になったご近所さん、様々な人が居た。そんな大勢に見送られムツキは「僕って幸せ者だなぁ」と一人微笑む。

そして人混みの中から一歩前に出てきたのは
父と母


「ムツキ・・・ムツキ、ごめんね・・・貴方にばっかり苦労を掛けて・・・ごめんね・・・」

ムツキは泣き崩れる母に静かに寄り添う


「やだなぁ・・・母さんのせいじゃないから、泣かないでよ・・・あっちに着いたら手紙を書くよ・・・」

母は何度も頷きながら涙を流している
そして父 グレンは苦虫を噛み潰したような表情を浮かべ、ムツキに静かに頭を下げた

「っえ・・・と、父さん?」

「お前には・・・俺達の力が無いばかりにこんな役目を負わせて・・・本当に申し訳なく思う。だが・・・これしか方法が無いんだ・・・。」


途切れ途切れに紡がれる言葉にはどれほどの思いが込められていたのだろう。


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