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獣戦記 §ju-senki§
第2章 レキザン

小さな頃から、女の子のような礼儀作法を学ばされ、肌に傷を付けることを良しとされず、周りの男の子と外で駆け回った事など皆無だった。
そして初めて婚約の話を持ち出された時は突然の事であまり理解が出来なかったが「僕は道具としてつかわれるの?」と思った事を今でも覚えている。

だがしかし、今となってはそれも仕方ないと理解している。
自分の身一つを対価として半獣族皆の身が守られるなら、長としてとる行動はこれで間違い無い。


「父さん、謝らないで。僕は大丈夫だから。」


ムツキは微笑んだ


「大丈夫」
そう自分にも言い聞かせる。






やがてレキザンからの迎えが到着すると
ムツキは再び皆に微笑み、踵を返した。


寂しくない訳が無い
しかし此処で泣いてしまえば父と母を困らせてしまう。
笑おう。

馬に跨ると、ムツキは1度だけ振り返り手を振った。

そしてゆっくりと馬を進める。ムツキが振り返ることは無かった。



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