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Oshizuki Building Side Story
第7章 Turning point of love!
 
「皆によろしくって。甘い物食べてぶくぶくにならないようにって」
「余計なお世話だっちゅーの」

 衣里が苦々しい表情で吐き捨てる。
 千絵ちゃんはご丁寧にも、あたしや衣里に、言付けを頼む。
 メールアドレスも電話も変えていないのだから、直接あたし達に言ってくればいいのに、なにかまだ気が引けるらしい。

 だからあたしからも千絵ちゃんに連絡しない。
 彼女自身があたし達に、きちんと連絡出来るようになるまでは。

「千絵ちゃん、元気?」
「うん、元気みたい。彼氏を作ったみたいだよ? ほら」

 見せられた杏奈のスマホには、幸せそうに笑う千絵ちゃんと、穏やかで優しそうな男性が微笑んで映っていた。

 彼女は、向島専務とは正反対の男性を見つけたようだ。
 彼女にとって、兄から受けたものは消えない傷となるだろうけれど、この幸せそうな笑みを見ていたら、乗り越えていけそうな気もしてくる。

 がんばれ、千絵ちゃん。

「……それとね、真下ちゃんに。結城社長と早く……」
「余計なお世話だって!!」

 なにを言われるのかを見越して、衣里は赤い顔でその先を拒絶した。

 まあ、想像はつくよね。
 そしてきっと千絵ちゃんもそれをわかって言っていると思う。
 シークレットムーンにいた時、どこか衣里に対して遠慮していた部分があった。それが、杏奈を介してだけれども、こうして衣里に声をかけることは、千絵ちゃんにとっては、いい方へ心境の変化があったと考えてもいいと思う。

「――で、えりりん。結城社長とはどうなの?」

 あたしも乗じてにやにやして聞いてみる。

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