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Oshizuki Building Side Story
第7章 Turning point of love!
 
「だったら、香月ちゃん呼べばいいじゃない、結城ちゃんが鹿沼ちゃんになびくのが心配なら。絶対、朝になっても横漏れも安心、ウルトラガードだよ?」

 杏奈はどこかで聞いたことがあるフレーズを口にする。

「じゃあ杏奈も誰か相手を連れなよ。向島専務か、木島くんか」
「……選択肢、それしかないの、鹿沼ちゃん」
「ないない! だったらトリプルデートということで! 衣里が怖じ気づいたら、あたしと杏奈が背中押すから。だからさっさと両想いになっておいで?」
「か、簡単に言うけど……」
「あたし、何年衣里と結城の友達していると思っているのよ。絶対、うまくいくように空気を読むから。衣里はなにも気にすることなく、結城の求愛の空気に飲まれておいで?」
「きゅ、求愛って……」

 衣里が気を失いそうだけれど、それはそれ。
 あたしは意気込み、揚々と手を上げて、追加注文をする。

「鹿沼ちゃん、まだ食べるの!?」
「もち!」
「陽菜、これ相当な量があったよ!?」
「え、そう? 最近お腹が減って……」

 途端に衣里と杏奈が顔を見合わせる。

「「この酷暑にお腹すく? 食欲減退するんじゃなく?」」
「うん、めちゃくちゃお腹がすく。家でもお菓子囓っているし。と思ったら気持ち悪くなったりして吐くこともあるんだけれど。なにかとりあえず口に入れていないと落ち着かないというか」

 再び杏奈と衣里が顔を見合わせる。

「そういえば、陽菜……、少し丸くなったよね」
「胴回りもふっくらしたし」

 水を飲んでいたあたしは、噴き出しそうになる。

「そ、そんなにわかる? ちょっと太っちゃったこと」

「鹿沼ちゃん、幸せ太りか~? でも香月ちゃんの体型は、変わってないよね」
「奴は……幸せだと感じてないから、太らないとか?」

 2人はにやにや笑うと、同時にあたしに言う。

「「それともまさか、陽菜(鹿沼ちゃん)、妊娠していたりして?」」

 まさか、と言おうとして、ふと考える。

 ……妊娠する心当たりはある。

 そして今月、生理は……遅れてる?

 でも、仕事が忙しい時はストレスで不順がちだったし。
 少し前までハードスケジュールだったし。

――それともまさか、妊娠していたりして?

 ……まさか。
 いやだけど。

 ……いるの、赤ちゃん?

 あたしは思わず、膨らみ気味のお腹を撫でた。
 
 

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