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Oshizuki Building Side Story
第7章 Turning point of love!
「言おうとしてるんだよ。だけど言わせねぇんだよ、あいつ! だったら酒でも飲ませて気分を和ませたいのに、ザルだし! 飲みに行っても、俺の方が潰れるし。なんなのあいつ、なんで鉄壁なの?」

 結城さんは既にやけ酒になっているようだ。

「だったらいっそ、既成事実でも作ってしまえば……とも思わなくもねぇけど、告って抱くのが男としてのけじめだと思うし」
「……陽菜は、告らないで抱いていたのに?」
「鹿沼はいいだろう、このいじめっ子! だから眼鏡男って意地悪だと言われるんだぞ!?」

 色々とツッコみたい気分ではあるけれど、酔っ払いに返せる言葉はない。
 俺のおちょこが空になると、机に頬をつけている結城さんが、その姿勢のまま手酌しようとした俺の手からお銚子を取り上げて、注いでくれた。
 こくりと、辛口の日本酒を飲むと、熱が体に駆け巡る。

「やっぱり男として、ムードたっぷり大人の男の余裕でリードしてぇじゃん?」
「それは同感」
「それにあいつ、処女なんだから、ハジメテって夢持つだろう?」

 クールで男など掌で転がしそうなイメージの、真下さんのトップシークレット。
 思わず日本酒を吹き出したが、結城さんはお構いなしだ。

「男として意識してくれてるってわかるよ? ちょっとディープかましただけでもう腰砕けになってさ、とろんとして準備OKの顔になるけど、そこでがっついたら絶対あいつ相手では駄目だからさ。ぐっと堪えて、毎回トイレ駆け込むし」
「そ、それは大変なことで」
「おー、大変なんだよ! だったらやめればいいと思わなくもねぇけど、不思議とより一層嵌まっているし。お前が俺の立場なら、どう攻める?」

 このひと、俺を渉さんのような百戦錬磨に思っているんだろうか。
 俺だって陽菜ひとりを口説き落とすのに、かなり必死だったというのに。
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