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Oshizuki Building Side Story
第7章 Turning point of love!
  
 結城さんは両手で顔を覆い、仰け反った。

「もう腹は括っているんだよ。だけどなんだか、今日になったら突然ハードルが上がり過ぎて、変に緊張するんだよ! なんで俺が、こんなにドキドキ乙女モードになってるんだよ」
「あまり意識しすぎると、彼女に魂胆見抜かれて逃げられるから」
「さらっとさらにハードルを上げるなって!」

 俺が笑った時、陽菜がやってくる。

「随分仲良くなってるー」

 そして陽菜は、俺の横に座る。
 躊躇いなく俺の隣に座ってくれるのが嬉しい。

「……結城」

 そんな陽菜は前のめりになり、ちょいちょいと結城さんを呼ぶ。

「今日の衣里の水着。凄いから、期待してて!」
「……っ!?」
「衣里も前に進みたがってる。だから……衣里が泣いても逃げても、あの子の心を捕まえて。それは結城じゃないと出来ないからね」
「……おー」

 陽菜と結城さんは、片手の拳を軽くぶつけ合う。

 ……本当にこのふたりは、いまだ俺が妬けるほど、お互いをよく理解している。俺が小言のようにアドバイスをするたくさんの言葉より、陽菜がさらっとひと言口にするだけで、よほど結城さんには効く。

 今だって、結城さんの顔が不敵になった。

 ああ、本当に妬ける。

 陽菜のことをよく知る結城さんも。
 結城さんのことをよく知る陽菜も。

 ……羨ましいよ、本当に。
 大切なひとが奮い立てられる言葉を、すぐにあげることが出来るなんて。

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