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Oshizuki Building Side Story
第7章 Turning point of love!
 
 昨日もその前も、陽菜を抱いていない。
 寝ている陽菜を抱きしめて眠るだけの最近は、幸せではあるけれど、正直、少し物足りない。

 もっと陽菜と、愛を交わし合いたい。
 もっと陽菜に、男として意識されたい。
 陽菜への愛だけは尽きることなく、恐らく結婚したとしても、死ぬまで焦がれ続けるものだから。

 ああ、陽菜に触れたい。
 触れられなかった昔を思えば、これくらい……とも思わなくもないけれど、触れられる今からすれば、触れられない日が重なると、欲求不満が募ってしまう。

「お待たせ……って、朱羽!? あれ、衣里は?」
「先に行って貰った。俺じゃ不服?」
「そういうんじゃないけれど……」
「顔色悪いけれど、大丈夫?」
「うん、大丈夫」

 陽菜が元気がないため、落ち着かせるためにも、俺はパーカー姿の陽菜を後ろから抱きしめた。

「陽菜の充電中」

 柔らかな身体。
 何度触れても飽きることなく、俺の欲情を煽る。
 ……そう、出会った時からずっと。

 俺は陽菜のうなじに唇を落として、その耳元に囁いた。

「――今夜、抱きたい。抜け出して、俺の部屋に来て?」
「そ、それは……」
「……陽菜は、寂しくないの? もっと俺に、陽菜を触れさせて。この中にも……」

 陽菜の腹をさすろうとすると、陽菜にぱしりと手を払いのけられた。

「こ、ここには衣里と結城のために来ているから、そういうことは……」
「嫌? 俺に触られるの」
「そ、そういうわけでは……」
「俺は、もう限界近いけど」

 俺の手がパーカーの下から水着を探る。

「ビキニじゃないんだ? ん? お腹の横は……」

 すると陽菜は俺の手を抓って、身を捩るようにして俺から離れる。

「もう! もう、もう!」

 なぜか陽菜は詰るような眼差しで、歩き始めてしまった。

 ……なんだろう、陽菜の態度が素っ気ない気がするのは。
 顔色も悪い気がするし。

「結城さんが真下さんに告白することが、実は嫌だとか?」

 独りごちた言葉に、ひとり青ざめる。

「結城さんを応援していたのに……?」

 払われた俺の手。
 抓られた俺の手。

 まさか俺……拒まれている、わけではないよな? 
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