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えっちな姉は俺の成長を喜んでいるらしい
第11章 番外編 Sirena della mare profondo
私は今、アドリア海の蒼を見下ろしている。
時折手元の携帯端末を見下ろしては、増えていく着信履歴を無感動に眺めている。
今頃日本では、私のせいで大変なことになっているのだろう。

私は、何を求めていたのだろうか。
モデルになりたくて、でもなれないと知って。
そして差し込んできた一筋の光に勝手に想いを寄せて。
思い通りにならなかったら全部滅茶苦茶にして……。


私は、私が着る予定だったウェディングドレスのことを思い出した。
あれを着ることは、最後に残った私とタカシを繋ぐものだった。
それを私は、自ら絶ったのだ。

そして私の脳裏に、あの男の子の顔が浮かんだ。
タカシによく似た、可愛い子。
そしてタカシの女によく似たあの子のことも……。

彼女はタカシの作ったドレスを着るのだろうか。
彼女は好いた相手と一生添い遂げられるのだろうか。
いや、私がそんなことを考えることなど、おこがましいことだ。
『気持ち悪い』
そう言って傷つけたのも私なのだから。


私は手に入らないと知って、好いた男の子供を傷つけた。
私は憧れに近づきたくて、私を傷つけた。
私は……私の憧れた場所と憧れた人を傷つけた。
私は……。


アドリア海は、今日も変わらずそこにあった。
私という存在など、この海は気にも止めない。
ただ、そこにあって輝くばかりであった。
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