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愛欲の部屋
第1章 プロローグ
 なぜSMは儀式めいているのだろう。
 それはきっとSMが、死への近接を儀式化したものだからだろう。
 私が鞭を求め、浣腸を希求するのも、死に憧れているからかも知れない。
 実際、死ぬほど虐めて欲しい。
 死に近づけば近づくほど、生きているという実感が湧く。
 ただ生きているだけでは、死んでいるのと同じだ。
 と、こういうことを考えていられるのも、あと数分だろう。
 私は今、全裸で、後ろ手に縛られたまま、ホテルに立たされている。
 二リットルもの浣腸液を入れられた上、500ペットボトルでアナルには栓をさせられている。
 強力なゴムで止められたペットボトルはグイグイとアナルを犯し、絶対に外れない。
 浣腸液が私の中で荒れ狂い始める。
「トイレに、トイレに行かせて下さい」
 これが、始まりの合図だ。
 あの人たちは抱き合い、濃厚にキスをする。
 ネットリと、時間をかけて。
「お願い、トイレに」
「ダメよ」とコンテッサが言う。
 コンテッサの豊かな乳房をコンテが揉む。
 あ、とコンテッサが声をあげる。
 あの人たち二人は、私が苦しむ様を見ながら、愛を交わす。
 じっくりと、時間をかけて。
 二時間にも及ぶ愛の営みの間、私は排泄を求めて泣き叫び、土下座を繰り返す。
 そしてコンテッサの草むらに舌を這わせ、中出しした精液の全てを飲み取ったとき、栓が抜かれる。
 バケツに跨がり、排出する、そのあまりの快楽に、私は全身を震わせて逝く。
 ああ、私は生きている。
 
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