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蝶が舞う時
第12章 絶倫
「最近特に家内が激しく求めて来ます。私も極力求めに応じているのですが、途中で元気が無くなり、中折れ状態になってしまいます。」

「失礼ですが、奥さんはお幾つで?」

「30歳です。」

「凄いですね。25歳も差がある。それでは奥さんの要求も理解できる。いや、羨ましい。」

「頑張ってはいるのですが、最近中折れするとしばらく出来ません。したい気持ちはあるのですが…特に二回目が全く駄目ですね。」


「毎日二回も…?」

「はい。」

「東条さん、年齢を考えて下さい。種馬じゃあるまいし、そりゃ無理でしょう。」

「でも、何とか家内を満足させたくて…」

「わかりました。」

「ED治療薬を使いますか?」

「ED治療薬とは?」

「性欲があっても、勃起しない人に勃起を促す薬です。」

「それを飲むと勃っぱなしに?」

「いえ、射精して性欲が収まれば、元に戻ります。ただし、性欲があれば勃起がしばらく続きます。」

「俗に言う、抜かずの何とかみたいに。」

「ある意味、それも可能かと。 もちろん個人差はありますが。」

「ただこの薬は、循環器系に持病がある方は服用出来ません。」

「別にその様な持病は無いです。」

「それでは、最初は服用量を軽くしてから使いましょうか。」

「お願いします。」

「いや、奥さんが若いと大変ですね。」


( そうなんです先生、しかも二人なんで…)


会計を済ませ、院外薬局で薬を受け取る。

車の中で薬についての説明書を読み、車をマンションへと走らせた。



家に帰り着き、

「ただいま!」

すると菜摘が玄関まで走って来た。

「おかえりなさい、おじさん。どうだった?」

「ああ、大したことない。てさ。 単なる疲れだそうだ。」

「ああ、良かった! 菜摘心配で心配で…」

「大丈夫だって!」

キッチンに向かうと美咲がクッキーに悪戦苦闘している。

「美咲ちゃん、おじさん大丈夫だって!」

「そう、良かった。おじさん、お姉ちゃんずっと心配してたよ。」

「菜摘は大袈裟だなぁ~」

「おじさん、しばらく安静にね。アレもお休みね!」

「いや、大丈夫だって! 薬も貰ったし…」

「ダメよ、おじさん。菜摘の言うこと聞くの!」


菜摘は言い出したら聞かない。

俺は気落ちして

「ちょっと寝室で横になる。」

寝室へと向かった。

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