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蝶が舞う時
第13章 予兆
クリニックで支払いを終えて車に戻った。

時間を確認すると、菜摘達と別れて小一時間が経過していた。

エンジンを掛けようとした時、スマホにメール着信を知らせるメロディーが突然鳴った。

ポケットからスマホを取りだし、SNS のアプリを起動する。

メールは美咲からだった。

美咲のトークを選択するといきなり画像が現れた。

( 何だぁこれは?)

画像は男性のぺニスが装着された腰のベルト。

更に美咲のコメントが

「おじさん、これ凄い! 買っていい?」

美咲の無駄遣いに俺は呆れて、叱ろうと思いメールを送ろうとしたが

( 美咲の真意は? 所詮男は俺1人、2人同時にできないからか? )

冷静に考えると、菜摘や美咲の本音が聞こえてくる。

「いったいお前達は何の買い物をしてるんだ? 仕方ない、それはOKだ。」

俺は美咲にメールを返信し、車をランジェリーショップに向けて走らせた。



20分ほどでランジェリーショップに着くと、店先で菜摘と美咲が既に待っていた。

「大分待ったかな?」

菜摘は首を横に振りながら

「今買い物が終わったばかり、そんなに待ってないよ。」

横で美咲がニヤニヤしている。

「どうした美咲? 何か嬉しそうだなぁ。」

「おじさん、家に帰ってのお楽しみ。おじさんが大好きな物。」

「ちょっと、美咲ちやん…」

「何かよくわからないなぁ… ま、とりあえず帰ろう。」

俺は2人を車に乗せると途中蕎麦屋で遅い昼食を取り、それからマンションに向かった。


マンションに帰り着いた時には、既に午後3時を過ぎていた。

菜摘にはキッチンの冷蔵庫の中を見て

「おじさん、今晩は何を食べたい?」

「菜摘、逆に何が出来る?」

「そうねぇ…中華なんてどう? 麻婆豆腐とか回鍋肉とか?」

「でも少し食材を買いに出かけないと…」

「じゃ、今から散歩がてら歩いて行くか?」

「菜摘はいいけど…美咲ちゃんは?」

「私も行く。おじさん、私達はいつも一緒よ。」

「了解。変態トリオでね。」

「おじさん! 変態はおじさんだけ。私とお姉ちゃんは被害者。ね!お姉ちゃん?」

菜摘は笑いながら

「おじさん、でもおじさんのこと大好きよ。」


変態呼ばわれされながら、10代の女の子に好かれる俺は一体何なんだろう?

たが何故か、今最も幸せを感じている。
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