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君を好きにならない
第10章 帰る場所


「ベランダじゃなくて
ちゃんと出かけたらどうだ?」


俺は
ソファで
頭をかかえる真琴に
声をかけた


すると真琴は
いつもの
ちょっとスネたような
甘えたような声で答えた


「一人で?」


「一人で出かけられるだろ?」


「えーーっ…」


こんな風に
自然に不貞腐れたりする
真琴が


俺は

やっぱり好きなんだ


「俺は仕事だし」


「向井さん、いつ休み?」


そんなに
甘えるなよ


「明後日」


「間に合う!
明後日の刺激で
絶対執筆スピードアップさせて
締め切り間に合わせる!」


真琴は
ソファで
跳ねそうな勢いで
まくしたてた


「何言ってんだよ(笑)」


お前と一緒にいると楽しくて
もっと好きになっちまうだろ


「向井さん!お願い!」


真琴は
両手を合わせて
目をぎゅーっと閉じた


「…仕方ねぇなぁ…」


俺だって
お前と本当は
出かけたりしたいんだ


でも


「やった!!」



好きになればなるほど



苦しくなっちまうだろ…
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