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君を好きにならない
第2章 真琴!死ぬなよ!


「うまいか?」


「はい」


真琴は
カップを女みてーに両手で持ち
ちょっと嬉しそうに
カプチーノを飲んでいた


ま、どーみても…ネコだよな


こんなネコが家にいたら
たまんねーだろーな

しかも
こんなに歳下で
感情がそのまま顔にでる


真琴が
「懇願」する
その時は

どんな顔をするんだろう…


あ、そんなことより
仕事、仕事


だいたい
俺のスイッチを押すツボが
ありすぎなんだ、お前は



俺は熱いコーヒーを飲んで
頭の中の妄想をかき消し
真琴から目をそらした


「真琴」


「は、はい」


「カプチーノばっか見てねーで
ココに来てる客
よく見てみろ」


「…え?」


俺は少し前のめりになり
口元に手を置いて
声のトーンを落とした


「入り口近くのサラリーマン
あいつに男がいたら
どんな奴だと思う?」


「……」


「例えば
奥の席の大学生っぽい男二人
あいつらが付き合ってたとしたら
どーゆーいきさつで
付き合うようになったと思う」


「……」


「レジで金払った店員と
コーヒー淹れてる奴が
やってるとしたら…」


「……」


「真琴?」



もう俺の声は
聞こえていないみたいだ


真琴は
俺に今まで見せたことのない顔で
店内の様子を
観察しはじめていた


カップを両手で持ったまま
ピクリとも動かず
凛とした真っ直ぐな瞳

それでいて
頭はグルグルと
回転していそうな真琴に

俺は思わず
見入っていた

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