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君を好きにならない
第14章 好きの意味
《Side 真琴》


「抱きしめていいか?

真琴・・」



「・・っ・・うん・・」




そう返事をすると
向井さんは
僕が手に持ってる
缶ビールをテーブルに置き

少し
僕の近くに座り直すと


「ずっと好きだった」


そう言って
僕を優しく抱きしめてくれた


「好きで好きで
どうしようもなかったんだ
真琴・・」


向井さんは
優しく僕の髪を撫でながら
名前を呼んでくれたんだけど

その声は

少し
泣いてるみたいだった


「怖かったんだ、ずっと…

向井さんは
僕のことを好きにならないって
言ってたから…

だから
向井さんが
僕の事好きでいてくれて…

よかった…」


優しく僕を抱きしめる向井さんを
キツく抱きしめ返すと
向井さんも
僕をキツく抱きしめてくれた



「俺も・・怖かったよ」


「えっ…」


向井さんが?


向井さんは
腕の力をゆるめて
僕の髪を優しく撫でると

少し
身体を離して僕を見つめた


「ノンケのお前に
好きだなんて言ったら
気持ち悪がられると思ったんだ

だから
お前を好きにならないように
必死だったよ…

そんなこと
できなかったけどな


正直、今もまだ怖いよ」



「えっ、どうして?」



「ひとつ
聞いてもいいか?」



そう言うと
向井さんは少しうつむいて
僕から視線を外した






「…うん…何?」






「お前の言う

好きって…」







「うん…


多分


キスしたいっていう

好き」


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