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君を好きにならない
第2章 真琴!死ぬなよ!

「ふーーっ…」


やっとの思いで
俺はフラフラの真琴を
タクシーに乗せ
ひと息ついた


「真琴」


「…はい…」


「お前、なんも食ってねーだろ」


「……ん…」


「ちゃんと食えっていったろ?
もしかして寝てもないんじゃねーか?
お前、一昨日あった時と
おんなじもん着てるし」


「……」


「真琴?…」


「……」


真琴からの返事はない


多分真琴は
俺と会った日から
飲まず食わずで
小説に没頭してたに違いない

眠りに落ちて
俺に体重を預けた真琴からは
汗の匂いがした

ほとんど外出しない真琴を
一日中連れ回して
疲れさせちまったのか
それとも
不慣れな都会の菌にヤラレたのか
知恵熱か…

理由はわからねーが
とにかく真琴は
高熱を出してぶっ倒れてしまった


真琴は
まるで子供みたいに
口を開けたまま…爆睡


クスッ(笑)


甥っ子を思い出すな…


そう思いながらも
俺に頼りきる
真琴の重さが心地よくて

ずいぶん前に
セックスしたことを
思い出したりもする


このまま

抱きしめたいとさえ…思う


けど
そんなことできない俺は

真琴が羽織ってる
俺のジャケットを直す振りをしたり
熱を確認する振りをして
何度も
真琴に触れた


そんな行為が

どんだけ子供じみてんだよ

…と

心の中で
自分を薄ら笑いながらも


やめられないまま


タクシーは
俺の住むマンションの前に
止まった
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