この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
エリュシオンでささやいて
第1章 Silent Voice


 ……後日、あたしは偶然に、天使のことを知る。

 天使はあたしと会った3日後、別の公園のゴミ箱から、喉を抉られ頭だけ刃物で切り落とされた姿で発見されたのだ。

 その顔の頬には――


 「Elysion」


 という英字を、鋭利な刃物で刻印されていたという。
 
 口からは赤い血が滴り落ちていたが、それは石榴(ザクロ)の汁であったことがあとでわかったそうだ。

 ……今でも彼女の歌が思い出される。
 近所に住んでいるかと聞いた時に彼女が歌った歌を。

 Freude, schöner Götterfunken,
 (歓喜よ、美しき神々の煌めきよ)

 Tochter aus Elysium,
 (楽園から来た娘よ)


 Elysiumとはラテン語で、ギリシャ語のElysion(エリュシオン)のこと。

 彼女とElysionはなにか関係あるのだろうか。
 それが気になって仕方がない。

 もしかして彼女は、なにかを伝えていたのではなかったのかと。


 それは今から九年前の夏、平和だった地元で騒がれた事件。

 ……犯人はいまだ見つかっていない――。


 あの時あたしが、ひとを呼べば。
 あの時あたしが、男達に恐怖しないで戦えたら。

 警察に何度も訴えたが、サングラスと黒服と嗄れた声だけでは、証拠不十分としてとりあってくれず、天使に戸籍がなかったことから、身元不明でなにひとつ解決の糸口になるものはなく、事件そのものも迷宮入りとして消え去ってしまった。
 
 
 あたしが天使を殺した。

 あたしの心を救ってくれた、エリュシオンの天使を――。
  
  
/1002ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ