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青い残り火
第6章 第6章
「おはようございますっ! き、昨日はびっくりさせてすみませんでしたっ」

千紗の前に一歩踏み出した大男が勢いよく頭を下げた。

「……」

登校してきた生徒達が、何事かと顔を見合わせる。

「おいあれ……」

「ねえあれ渋谷さんじゃない?」

「あいつらなにしてんだ?」

集まってきた生徒の輪の中に、三人対一人の構図が出来上がった。

「もう一度言います。……す、好きです。ボ、ボクと付き合ってください!」

周囲のざわつきがぴたりと止んだ。その視線は、頭を下げたままの渋谷から千紗へと移動していく。千紗の無言が長引けば長引くほど、四人を囲む丸い壁の厚みは増していった。

小鳥のさえずりが聴こえる。青空には雲がぽっかりと浮かび、夏を知らせる熱い風が、若い彼らの間を静かに通り過ぎた。

「は……はい」

「え?」

渋谷が顔を上げた。

「……はい」

「ほ、ほんと?」

「うん」

わーっ、という歓声が上がり拍手が起きた。

「あ、ありがとう……ありがとうっ!」

今にも襲いかかりそうな迫力で一歩前に出た渋谷に、芽衣と桃香は三歩下がった。

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