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第17章 last moon…優しき輪廻

この目覚めるまでの一週間の間の記憶がない雅だったが、誰も責めることはなかった。

しかし、雅だけではなかった。この１ヶ月で関わっていたはずの久我の中からもユトのこと、雅との約束のこと、裏切りがあったこと。……全てにおいての記憶がそれぞれの中から消え去っていたのだ。

それでも、１ヶ月の意識不明の状態だったとは思えないほどの回復力を見せた雅。

「先生？退院って…」
「そうだな、来週にはでれそうだよ。それにしても恐ろしいくらいの回復力だな。」
「…解らないですけど…」
「その記憶がないのは仕方ないことだよ。だから気にすることはない。」

そう笑いかけた主治医は病室を後にした。少しして母親がやってきた。

「どう？調子は。」
「うん、大丈夫だよ！来週には退院だって！」