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第8章 夏―2.9

抱きしめられていた体が横にされていく

そう、別に怒っていない。。。

ただ、小さな刺が刺さっているみたいに、今まで我慢していて、許せなかったことが、時々、溢れてくる

髪を撫でられている感覚がする

ずっと、見られている感覚が耐えられなくなり、寝返りするふりして、反対側を向く

ギシッとベッドがきしむ音がして、誠が抱きしめてくる


誠。。。？


ん？

眠いんだろ、寝ていていいよ。。。？


スーツ、シワになる。。。

会社いく前に、シャツも、シワになるから？


体をゆっくり押して離れていこうとするが、抱きしめられている体は、離してくれない。。。


昨日、寝られなくて。。。

１人で、詩織のいないベッドで寝られないよ。。。

詩織は、寝られた？


あんまり。。。



一晩中、直樹に溺れて抱かれてしまったと言ったら、この手は離してくれるんだろうか。。。？

気づかないふりをしている？

気づいているのに、何も言わないんだろうか。。。


振り向いて、体を押していく


離して？


どうして？


うつるから、離れて。。。？


うつらないから、大丈夫。。。



うつらないから、大丈夫か。。。

うつしてもいいよって言ってたな、直樹は。。。

どちらが、答えは正解なんだろうか。。。？

抱きしめられていると、心が苦しい。。。

キスしようとしてくるのを感じて、顔を胸の中に埋めていく

気づいたんだろう。。。

キスを、さけたことに、指が微かに震えた

髪を撫でて抱きしめてくる


午後１番に迎えにくる

一緒に、帰ろう。。。


わかった。。。

でも、無理しなくていいから。。。？


無理してない。。。

顔を見せて。。。？


もう、眠い。。。


顔を埋めていく

微かに震える指がゆっくり顎を掴んで上に向けられていく


うつるよ。。。？


風邪じゃないだろ？


何かわからないなら、尚更だよ。。。


目を開けて、誠を見る

キスしたくない。。。

まだ、直樹の痕跡が残っている

甘いキスして溺れていたのを、忘れたくない。。。

でも、旦那には、拒めない

夫婦なんだから、夫婦の営みは拒めない。。。