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好きになった人
第9章 秋ー2
それから、1ヶ月が経った

陸は、以前の陸みたいに、毎日笑っている

変わったのは、毎日、まっすぐに家に帰って行くことだ

毎日、蓮と一緒に食事をするのが二人が決めた最初のルールだからだ

蓮は、料理も上手く何でも出来てしまう

私も、時々手伝いに行くが足手まといみたいだ

二人がいなくなった空間を埋めるように、よく笑う

バイトも、やめて、あかりにも逢っていないようだ

私とは、まだ付き合っている

手を繋いで毎日一緒に帰る

蓮に勉強を教えてもらい、塾に行く

週末は、一緒に勉強する

サッカーに行く

お父さんが、陸から目を離さないように言われていた

サッカーしながらはしゃぐ、お父さんと陸は、楽しそうだ

本当の親子なんだよね。。。

いつか、陸が知ったら、本当の親子になれるんだろうか。。。?


茉莉ー?

飲み物、ちょうだい?


私の方に、手を振る陸に手を振る


飲み物を渡すと、美味しそうに飲んでいく

毎日、笑う陸が怖い。。。

あんなに壊れそうなくらいに、泣いていたのに、何もなかったかのように笑う陸は、無理をしているように見える

いつか、本当に壊れてしまいそうで。。。

だから、目を離さないように、お父さんも言ってたんだろう。。。

空を見ると、今日もいい天気だ

詩織だったら、何色に見えるんだろう?


水色の空の向こうは、

エメラルドグリーン

だな。。。

水平線みたいに見える。。。


いつの間にか、隣にいたお父さんが呟く


詩織の好きな色の空だよ。。。?


陸を見ると、空を見ていた


母さんを、名前で呼ぶなって何度言えばわかるんだよっ?


っ。。。冷たっ


陸がお父さんに水をかけていくと、お父さんも陸に水をかけて、じゃれあっている

本当のお父さんがいるのに。。。

お父さんは、詩織との約束を守ると言っていた


最後の約束だけは、守りたい。。。

いつも、守れなかった約束ばかりだった

たくさん、傷つけたし泣かせた

俺と詩織の繋がりがあるのは、陸だけだから。。。

陸に受け入れてもらえるように努力するし、大人になるまで待つよ。。。


泣きながら笑うお父さんは、寂しそうだった


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