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Blood of Love
第2章 10年目の約束

「吸血鬼は16歳になりしばらくすると、最盛期というのを迎えるんだ」
「最盛期?」
「ああ。人間の血を吸いたくてたまらなくなる時期のことだよ」
レースが吸血鬼の話…
この10年、一緒に過ごしてきたけど
私はレースが吸血鬼とは思えない。
吸血鬼の話もそんなにしないし、
なにより血を吸ったところを見たことがないから。
唯一吸血鬼っぽいなと思うのは、口の隙間から見える八重歯。
けどこのくらいの長さなら人間にもいる。
実際、血を吸うときはもっと伸びるらしいけれど。
「エミリア。俺は人間そのものから血を吸ったことはないんだ」
「え、そうなの!?」
「ああ。いつも食事として出てくる血は動物の血だから。
だけど…」
レースの声が少し低くなる。
躊躇いがちに話を進めていく。
「16歳になって最盛期を迎えると、動物の血では足りなくなる」

