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溺愛 ~ どうか 夢のままで ~
第11章 虚しさという名の快楽

一度、唇で触れると…

「…っ」

その所作はトメラレナイ。

彼の手が花菜の頭を両側から挟んで、啄むキスを何度も繰り返した。

既にいたるところに刻まれたキスマーク。

外からの灯りで首元に浮かび上がった情欲の印。

ごめんね…痛かったよね。

まるで薬を塗り込むような丹念さで伊月のキスが優しく降り注ぐ。隙間なんて無かった。


…大丈夫

今の君は、怯えない


「…可愛い寝顔だ」

スヤスヤと深く眠る彼女の様子に安堵しながら伊月の顔がほころんだ。

どうしてこんなに愛おしいのか。

決して手に入らない──そうわかっているのに、どうして欲してしまうのだろう。

「ああ……憎らしいよ」

憎らしさも虚しさも嫌と言うほど味わい、それでも欲してしまうのは──

この虚しさの中にこそ、快楽を見つけてしまったからか。

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