この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
それを、口にすれば
第17章 それを、口にすれば
〝本当は貴方じゃないと駄目なの……!!〟
そんな風に言えたならどんなにいいだろう。
しかし、理沙子の口から出たのは全く別の言葉だった。
「そんなこと言うの……許さないわ」
「……これ以上話すことはないよ、理沙子。優雨は俺が連れて行く。そこに倒れている男も、目を覚ましたら一緒に医者に連れて行ってやるといい。暴力は嫌いだが……あちらから手を出して来たんでね。少し強く殴り過ぎてしまったようだ」
「指図しないで……」
「それから、彼らには俺のやり方で報復させてもらう。この物件をどう料理させてもらうか……考えるのが楽しみだよ」
結城はそう言いながら、上着をしっかりと着せ、抱き上げてくれたまま歩き始める。
このままどこに行くのだろうか。
しかし、優雨には一つ気がかりなことがあった……それは、この場に残していく夫、良介のことだ。
「結城さん待ってください、どこへ……」
「信頼できる医者……婦人科に連れて行くから」
アフターピルというものを聞いたことがある。
そんな心配を結城にさせてしまう自分と、自分に起きた出来事が恨めしかった。
でも、ひとつだけはっきりさせておかないといけないことがある。
「夫と……一言だけ話をさせてください……」
「優雨……」
「どんな人だとしても……今、私はあの人の妻なんです」
結城は黙って手を離し、優雨は一人で良介の前に立った。
そんな風に言えたならどんなにいいだろう。
しかし、理沙子の口から出たのは全く別の言葉だった。
「そんなこと言うの……許さないわ」
「……これ以上話すことはないよ、理沙子。優雨は俺が連れて行く。そこに倒れている男も、目を覚ましたら一緒に医者に連れて行ってやるといい。暴力は嫌いだが……あちらから手を出して来たんでね。少し強く殴り過ぎてしまったようだ」
「指図しないで……」
「それから、彼らには俺のやり方で報復させてもらう。この物件をどう料理させてもらうか……考えるのが楽しみだよ」
結城はそう言いながら、上着をしっかりと着せ、抱き上げてくれたまま歩き始める。
このままどこに行くのだろうか。
しかし、優雨には一つ気がかりなことがあった……それは、この場に残していく夫、良介のことだ。
「結城さん待ってください、どこへ……」
「信頼できる医者……婦人科に連れて行くから」
アフターピルというものを聞いたことがある。
そんな心配を結城にさせてしまう自分と、自分に起きた出来事が恨めしかった。
でも、ひとつだけはっきりさせておかないといけないことがある。
「夫と……一言だけ話をさせてください……」
「優雨……」
「どんな人だとしても……今、私はあの人の妻なんです」
結城は黙って手を離し、優雨は一人で良介の前に立った。