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それを、口にすれば
第17章 それを、口にすれば
結城の車が、二人を乗せたまま静かに走りだす。

「十五分も掛からないから」

「はい……ありがとうございます」

「……」

あんなことがあったのに、何も言わないで……訊かないでいてくれる結城の気持ちがとても嬉しい。
いま何かを問われても、きっと優雨は何も口にすることは出来ないだろう。

しかし、考えなければならないことはたくさんあった。

まずは、自身の身体のこと……
思い出すのもおぞましいが、店長は確かに優雨の胎内で射精していた。

〝もし望まない妊娠をしてしまったら……〟

そう思うと、居ても経ってもいられない気持ちになる。

そして……

「結城さん……」

「なんだい?」

「あの……」

ああ、こんなことを訊いてしまっていいのだろうか?

口から零れ出る言葉を止められなかった。

「あの、本当に……本当に理沙子さんと……別れるんですか?」

「……そうだね、もう決めたよ」

結城の言葉には迷いが全く無かった。
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