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夜伽月 よとぎづき 
第4章 比丘尼
月が蝮和尚の寺で尼僧として過ごしている事を知ると、いつの頃からか、町の人々から付け届けが来る様になった。

「野菜や魚は飽きたわい。気を利かせて酒を持って来るやつはおらんのかのぅ」

月は史と双子の世話、そして町の人達の相談役になっていた。今日も月を頼ってひっそりとやって来た若い夫婦を眺めながら蝮和尚は大欠伸をしていた。

「おりものの様子をみてください。妊娠しやすい時期には、透明で生卵の白身の様に、少し粘り気がでますから」

水銀体温計が発明されるのは、まだまだ先の事である。月は、不妊の相談にやって来た夫婦に説明をしていた。

「本当にそれで、子供が出来るのでしょうか?」

夫婦揃って不安そうに月に聞いた。

「男性にも女性にも不妊の原因はありますが、まずは数ヶ月試してみましょう」

「子供が出来ないと、追い出されてしまいます」

「まだご結婚されたばかりですから、気長に…1-2年ぐらい様子をみましょう?それにもしも出来なかったら、養子をとる事も…」

月は諭す様に夫婦に言ったが、現代に比べ子供が出来ないのは、より深刻な問題の様に考えられていた。

「養子を取るぐらいなら、妾を作れと言われてしまいます」

妻が悲しげに訴えた。

「焦りは禁物です。夫婦で相談しながらじっくりと考えましょう」

出来ることは限られているけれど、それでも人の為になるのならと、月は無償で働いていた。

史の親との約束の時が迫っていたが、双子は元気に育っていて一安心だった。

「一時はどうなることかと思いましたが、本当に良かった。夜伽様にはなんとお礼を申し上げて良いのやら」

最近、お時は口を開くたびに月にお礼を言った。

「いえいえ…こちらこそお世話になっています」

掃除や洗濯、着付けなどもお時にしっかりと教わっていた。

「お陰で、炊事洗濯が出来なくて馬鹿にされる事も無いと思うし」

月は、かんざし婆さんに呆れられる事も少しは減るだろうと、生活を通し、この時代の事を学ぼうと必死に頑張っていた。
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