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夜伽月 よとぎづき 
第4章 比丘尼
尼僧のふりも大分様になった頃、史の家族が迎えにやって来た。今回は、史の夫も一緒だ。

「いやはや…皆さん。こんなむさ苦しい寺へようこそ」

蝮和尚が愛想良い対応をしているが、ツンとしたままだった。

…相変わらず、取っ付き難い人達。

月は、大きく息を吸うとゆっくりと吐き出した。

「夜伽様は…」

庭先で下女の声がする。どうやら和尚と直接話す事も避けたいらしい。

「はい。少々お待ちください」

月は呼ばれる前に、仰々しく縁側を通り皆の前へと出た。

(どんな時でも身のこなしはゆっくり。それだけで優雅に見えます)

お時に教わった事を頭の中で反芻していた。


(見栄えはどうにもならないんだ。背筋伸ばして、静かにゆったり落ち着いて話すんだ。)

そしてかんざし婆さんの言葉。

…完全にデスられてる。

言葉使いは乱暴だけれど、かんざし婆さんが月を心配してくれていることは良く分かった。

小坊主が大家族を部屋へと案内すると、当たり前の様に月は上座に座る。今回ばかりは下女も文句も言わず、黙っていたので内心少し月はホッとした。史の夫は、武士と言うよりも、学者の様な聡明な顔立ちをしていた。

「この度は、史が大変お世話になりました」

礼儀正しく、月に挨拶をするが目を合わせようとはせずに俯いている

「どうぞお顔をあげて下さい」

現代よりも上下関係がしっかりとしていて、それが月にはとても窮屈だった。

ふと見ると、廊下に近い下座には涼しげに座る清賢和尚の姿が見えた。月と目が合うと、清賢は深々と頭を下げた。

「史様とお子様達をこちらに…」

月が小坊主に伝えるとすぐに史がやってきて、義母の後ろへと座ろうとしたので、月は自分のすぐ傍へと呼び寄せた。それに続く様に子供達も連れてこられた。

「おお…なんと」

丸々とした着物に包まれた瓜二つの赤ちゃんを見ると誰もが驚いた。

「史様、そしてご家族の皆様の思いが、奇跡を生んだのでございます」

赤ちゃん達のお陰で、その場が一気に和むのと同時に疑っていた下女達の月を見る眼まで変わった様な気がした。

不安な顔を見せ無い様にそっと蝮和尚をみると、こちらもホッとした様子だった。
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