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夜伽月 よとぎづき
第5章 鬼鎧の洞窟
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「気が強い女だな…。まぁ好きにしろ!必要なものは用意してやる」
鬼鎧は、少々面倒くさそうに縮れた毛で覆われている頭を掻いた。
「いけません…夜伽様…そんな約束を…」
清賢は月を止めたが、聞く耳を持たなかった。
「では…早速ですが、小坊主さんには、清潔な寝床とお湯と着替え、それから食事を…」
「あんた!調子に乗るのもいい加減にしなっ!」
野風の怒声が飛んだ。
「今、必要なものは揃えると言ったわ。だから頼んだのよ」
「鬼鎧様が優しくすればつけあがりやがって!」
野風はいらいらしながら、月のいる牢屋へと近づいてきた。
「つけあがってなんていないわ。必要だから必要ですと言ったまで…」
「お前なんて、あたいが切り殺してやる!」
その言葉に、清賢が月の前に庇うように進みでた。
「夜伽様…」
「約束は約束でしょ?あなた達には、山賊としての誇りは無いの?」
背中を向けて歩き出した鬼鎧はその言葉にぴたりと足を止めた。
「なん…だと?」
「そうやって裏切りや残虐な事を繰り返して来て、手下にだっていつか寝首を掻かれるわよ?」
「夜伽様…刺激するのは、おやめください」
清賢が、厳しい顔で月に囁いたが遅かった。月を睨みつけた鬼鎧の眼は、今迄に無く恐ろしいくらいに怒りで満ち満ちた。
「だから、あなた達は、人をすぐに殺すのよね?裏切られたり、殺されるのが怖い…」
鬼鎧はまるで飛ぶ様に月の居る牢屋の前迄やって来ると、格子越しに、ぐゎしっと月の首を掴んだ。
「貴様…もう1度言ってみろっ!」
月は自分の首の骨がみしみしと音を立てるのを聞いた。
「恐怖で…誰か…を…支配…すれば、いつ…か、あなた自身…その恐怖に…蝕まれる…。」
月は自分の身体がゆらりと宙に浮かぶのを感じた。それでも、月は鬼鎧をたじろぎもせずにその澄んだ目で見つめた。言った事に後悔は、無かった。
「疑心暗鬼…が最期に…あなたの…身を滅ぼ…す」
鬼鎧の手は、鋼のように硬く月の首を絞め続けた。
…景 ごめんね。私…駄目かも。
鬼鎧は、少々面倒くさそうに縮れた毛で覆われている頭を掻いた。
「いけません…夜伽様…そんな約束を…」
清賢は月を止めたが、聞く耳を持たなかった。
「では…早速ですが、小坊主さんには、清潔な寝床とお湯と着替え、それから食事を…」
「あんた!調子に乗るのもいい加減にしなっ!」
野風の怒声が飛んだ。
「今、必要なものは揃えると言ったわ。だから頼んだのよ」
「鬼鎧様が優しくすればつけあがりやがって!」
野風はいらいらしながら、月のいる牢屋へと近づいてきた。
「つけあがってなんていないわ。必要だから必要ですと言ったまで…」
「お前なんて、あたいが切り殺してやる!」
その言葉に、清賢が月の前に庇うように進みでた。
「夜伽様…」
「約束は約束でしょ?あなた達には、山賊としての誇りは無いの?」
背中を向けて歩き出した鬼鎧はその言葉にぴたりと足を止めた。
「なん…だと?」
「そうやって裏切りや残虐な事を繰り返して来て、手下にだっていつか寝首を掻かれるわよ?」
「夜伽様…刺激するのは、おやめください」
清賢が、厳しい顔で月に囁いたが遅かった。月を睨みつけた鬼鎧の眼は、今迄に無く恐ろしいくらいに怒りで満ち満ちた。
「だから、あなた達は、人をすぐに殺すのよね?裏切られたり、殺されるのが怖い…」
鬼鎧はまるで飛ぶ様に月の居る牢屋の前迄やって来ると、格子越しに、ぐゎしっと月の首を掴んだ。
「貴様…もう1度言ってみろっ!」
月は自分の首の骨がみしみしと音を立てるのを聞いた。
「恐怖で…誰か…を…支配…すれば、いつ…か、あなた自身…その恐怖に…蝕まれる…。」
月は自分の身体がゆらりと宙に浮かぶのを感じた。それでも、月は鬼鎧をたじろぎもせずにその澄んだ目で見つめた。言った事に後悔は、無かった。
「疑心暗鬼…が最期に…あなたの…身を滅ぼ…す」
鬼鎧の手は、鋼のように硬く月の首を絞め続けた。
…景 ごめんね。私…駄目かも。
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