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大人なの。
第1章 波
「ね!ねぇ!!」
「あの!…はぁっっ…ちょっと~!」
「お願い!聞いてよ!何なの!?」

月曜のオフィスビル内を引きずられる様に小走りで進む。
前方を何度声を描けても無言で、眉間に皺を寄せて口は真一文字と険しい表情の男が、私の右手首を握り潰すつもりか?と思う位握りしめてずんずんと歩いていく。
ただでも身長155センチと低め、比例して脚も短い私。
対して鬼の形相の男は188センチの高身長。
スポーツ全般何でも器用にこなすとの噂を疑う余地もない見事な体つきだ。
身長差もあって足は浮きぎみ、捕まれた右手が千切れそうで一生懸命歩調を合わせようと足を動かすけど、きっとなんの意味も無いと思う。

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