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第3章 恋か友情か

「蘭はあのアパートで一人暮らしだろ」

「そうだけど」
席に座って珈琲が届くのを待つ。

「マスターは？実家も近いだろ」

「あの店で本格的に働きだしたのをきっかけに一人暮らし始めたの」

「実家出たかったとか？」

「ん...うちの両親異様に仲良いから２人にさせてあげようと思って」

確かに。
マスターと話していると毎回必ず奥さんの話が出てくる。
うちの奥さんが一番良い女、だとか、昨日も２人でデートした、だとか...。

そういうの、俺は少し憧れる。

「子どもからしたら目の前でちゅうされたりとか結構、目のやり場に困るけどね」
そんなこと言いながら、蘭が両親のことを想っていることはすぐ解る。

「マスターも幸せ者だよな」

そんな話をしてると、ポケットの中で震えるのを感じて携帯を取り出した。
「電話？良いよ出て」

「悪い」
それだけ言い残して俺は店の外に出た。