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伝わらない想い
第3章 恋か友情か
「あ、あの、初めまして」
彼女が勢いよく立ち上がり、俺を見る。

何度見てもそこにいるのはやっぱりあの彼女で。

「あの、どこかで...」
彼女もまた俺の顔をうっすら覚えているのか必死に思い出そうとしているのがわかった。

でも、今はとにかく純には気付かれないようにしないと...。

けど、そんな考えも虚しく、彼女は俺の顔を思い出したようで、「あ、電車で...あの時はありがとうございました」と、痴漢から助けたことを言っているのか深々と頭を下げたんだ。

そこまで言ったら純のことだ、完全に一致しているだろう。

純の雰囲気が一気に変わるのがわかる。

そりゃそうだ。
俺の好きだと言った女の人が、実は自分の女だったなんて。
純じゃなくても動揺すると思う。

俺は2人に話し掛けたことを今更激しく後悔していた。

「もう俺たち行くから」
その気まずい雰囲気を脱するためか純は彼女を連れて俺の横を通り過ぎる。

「ああ、またな」
なるべく平常心に見えるように俺は2人を見送った。
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