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伝わらない想い
第4章 幸せを願う
昨日のお酒が残っている訳ではなく、昼からだと言っても、祝日にも関わらず職場に行かなければいけないことが何より俺の身体を重くしていた。

仕事自体は嫌いではない。
むしろ、いろんな人と関われて、人が生きることに欠かせないものに携われるこの仕事にやり甲斐も感じている。

ただ、満員電車にだけはどうしても慣れない。

電車を待つこの人集り。
いつもはスーツ姿の人が多いホームも今日は家族連れなんかもいて、世の中は休みなのだということを思い知らされる。
この人の塊が今からあの小さな箱の中に押し込まれる。
そんなことを考えるだけでうんざりした。

電車が大きな音を上げながら駅に入り込んでくる。
扉が開くと、我先にとその人集りは小さな箱に飛び乗っていった。
その流れに身を任すように乗り込む。

中にはもう無理だろうと諦める者、まだ行けると言わんばかりに無理矢理こじ開けて来る者...。
改めて、世間にはいろんな人間がいるな...と思った。

こんなにいろんな人がいるのに。
なんで俺は彼女を好きになったのか...。

人を好きになるのは理屈じゃない。
そんなことは分かっている。

けど、なんで。
なんで、あいつと同じ人なんだ...。

運命の神様なんかが本当にいるのだとしたら一言文句を言ってやりたくなった。
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