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伝わらない想い
第5章 伝わらない想い
2人の気持ちが重なって。

哀しいはずなのに。
辛いはずなのに。
苦しいはずなのに。

なぜか、俺の心は軽くなった感じがした。


「ちょっと...何してるのよ」
空気を読まない1人の女の声。
純にへばりついていた女。

今の今まで存在すら忘れていた。

「お前、空気読めよ」

「うるさいわねっ、私は本当に純のこと...」

俺が彼女を想っていたその気持ちも本気だったんだよ。
本当に好きだったんだよ。
だけど...。

「...いくら想っても、伝わらない想いもあるんだ」
俺のその言葉にまたその場が静まり返った。

それをすぐに破るように言った。
「純、茜ちゃんのこともう泣かすなよ」

「それは約束出来ない」

この期に及んでまだ言うか。
俺が睨み付けたところですぐに純は続けた。

「でも、もう一生離さない」

こいつらしい愛の表現に肩の力が抜ける。
「...もう行けよ」

「悪いな」
2人が店の外へ消えていった。
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