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友達でいるしかない
第6章 文香の幸せ
また一人になった俺は暇な時間を持て余す。
たまには遠回りして帰ろうといつもと違う道を適当に歩いた。
中学の時に通った道も少しは歩きながら時間をつぶす。
知らない場所を探索するのは面白い。
いろんな発見があるから。
今日も新しい発見をする。
100階段ひな祭りと大きな看板が掲げられている神社。
看板を見てみると3月になれば、この階段に約1000体のひな人形が飾られると書かれてある。
とりあえず100段登ってみようと登り始める。
さすがにきつい。
頑張って登ってみると、そこは見晴らしの良い高台だった。
景色を楽しめるようにベンチも置いてある。
デートにはもってこいの場所。
景色を眺めていると下から誰かが上がってくるカップルが見える。
段々と輪郭がはっきりと分かると俺は慌てて境内の方に隠れる。
文香と彼氏が仲良く上がってきたからだ。
手を繋いで楽しくしゃべりながらベンチに座る。
時々見える横顔が俺の気持ちを逆なでした。
1時間ぐらい話したあとに二人は立ち上がり、そのまま帰るのだろうと思ってみていると手を繋いで俺の方に歩いてやってくる。
慌てて奥の草むらに隠れて二人の様子をうかがった。

俺がいた場所まで来ると男が文香にキスをした。
文香の腕が男の腰に回る。
舌が絡まって濃厚なキスをしているのが分かる。
文香の艶めかしい表情が見えた。
男とのキスに酔いしれる文香の表情にくぎ付けにされる。
長い長いキスは名残惜しそうに終わり、俺を置いて二人はそこを後にする。


「…まいった…」

地面に座りこむ形で頭を抱える。
まさか文香のキスシーンを見させられるとは思っていなかった。
それもあんな表情をする文香を…
口惜しさと、せつなさと、絶望感が俺を襲った。

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