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想いのカタチ
第10章 母親の想い
「きっ…緊張する…」

玄関先に立ったまま動けないでいる文香は、相当緊張しているのか、先ほどからその言葉しか話さない。
初対面ではないし、そんなに緊張しなくてもいいのにと思うが、逆の立場だったら俺も緊張するに違いない。

「文香…そんなに緊張されると俺まで緊張する…」

そう、さっきから俺の心臓もバクバクと鳴り響いている。
母さんが文香を紹介して嫌な顔をすることはない。
小さい頃から良く知っていて、俺が一番つらい時期に傍で支えてくれていたことも知っている。
だから、母さんは文香を快く受け入れてくれることは分かっている。
分かっていても、文香の緊張が俺に伝染したかのようにバクバクと鳴り響いていた。

「ねぇ…お母様に気に入られるかな?嫌われないかな?」

涙目になりながら俺を見るから、俺は文香の手をギュッと握った。

「大丈夫だって。母さんと会うの初めてじゃないだろう?」

「でも…」

「心配するなって。文香とつきあってること伝えた時は喜んでくれたから。」

その言葉に決心がついたのか、頷いてくれたから俺は玄関のドアを開けた。
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