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Snake and Sun --- 蛇と太陽
第2章 穏やかな日々と不穏
緑豊かな自然と清らかな水が流れる川に囲まれたアルカディア公国。
資源にも恵まれて、国民は活気にあふれた生活を送っている。

国王のルートヴィヒ・アルカディウス4世の52歳の誕生日を3ヵ月前に迎え、国では盛大な生誕祭が催された。ちょうど暖かくなる春の季節であったので、騎士団を新しく編成し、若く有能な騎士団団長の就任に、世間は盛り上がった。



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「ルーク!」

陽射しが差し込む王宮の廊下で、嬉しそうな声が響いた。
名前を呼ばれた栗色の髪の青年、ルーク・フェンディーは声の先へと振り返り、その視線の先にあるものに頬を染めて微笑んだ。

「ソラ様、走ったら危ないですよ」
「ルークの姿を見かけて堪らず走っちゃったの」

ソラと呼ばれた少女の金糸のように美しいプラチナブロンドの髪は太陽に照らされてキラキラと光り、剝き出しの白い肩に無造作におろされている。その天使のような姿に、ルークはドキリとした。

今までいくらでもその姿を目にしていたのに、いつ見ても慣れない。
あどけない笑顔ではあるが、無防備に晒された白い肌に心臓が高鳴ってしまう。こういうドレスのデザインだから仕方ないのだが、心臓に悪いので着ないで欲しいと、ルークは今まで何度も思った。


ソラはこのアルカディア公国の姫である。
その美しい姿と、姫としての高潔な精神を慕われて<太陽姫>と親しまれている。
予定調和なことに、美しい2人は想いを寄せ合っていて、3ヵ月前のルークの騎士団団長への就任式の後に、遂に想いを通わせて結ばれたのである。

端から見たら美神も見惚れてしまいそうなほどの美男美女であり、おあつらえ向きの組み合わせであった。愛娘を寵愛している父親である国王ルートヴィヒは、いまだに渋っているようであったが、幸せな2人にはなんてことはない障壁であった。
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