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蜘蛛♠
第6章 能力者

テーブルの上に目をやる川澄。
料理とともに置かれている、皿にのせられた山盛りのポップコーン。
先ほど入ってきたドアを開け、川澄はS子とM奈をチラリと見た。
そして次の瞬間、

「ぬわぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!」

川澄の叫び声にS子とM奈が振り返る。

「けっ、圭ちゃまぁぁぁ!!!!どうしたの~!!!!!?????」
ポップコーンとともに床に倒れている川澄を見て、M奈が悲鳴をあげた。

「痛ってぇぇ…………!まじ痛ぇぇ……!足の小指ぶつけたぁぁぁ……!!」
足を押さえ悶絶する川澄。

M奈が勢いよく川澄の所へかけつけた。
ポップコーンは見事に廊下の先まで飛び散らかっている。
「あちゃー!めっちゃポップコーン散乱してるし!!圭ちゃま大丈夫!!!?」

「だ……大丈夫!!それよりポップコーンが廊下の先まで散乱しちゃった!」

「本当だ~!!圭ちゃま動ける~?一緒に拾おう!S子~!そっちはちょっと任せるね!!」
言ってM奈は廊下の方へ向かった。

S子の視線を感じる中、川澄もM奈の後へと続く。
一時的だがS子とM奈の距離を引き離すことが出来た。
廊下に出ると、予想以上にポップコーンは散乱している。いくつかは玄関の方まで転がっていた。
必死で拾うM奈。川澄もM奈の横に行きポップコーンを集めた。

するとM奈、
「もう~圭ちゃまドジなんだから~!!足は大丈夫~?見せてみなよ~」

M奈の言葉にドキリとしながら、川澄は足を見せた。
怪我などしてる訳がない。お前らを引き離すための演技なのだから。

「腫れてはいないみたいだね~!!よかったよかった!」
M奈は満面の笑みで、再びポップコーンを集めだした。
その笑顔に若干胸が痛んだ。

川澄はM奈に背を向けながら
「ねーM奈ちゃん!!トイレってある??ちょっとお腹が…………」

「んー?トイレ?あるよあるよ~!!行ってきなよ~!!ここは私やっとくからさ!!」

外見に似合わず意外とM奈は優しいようだ。
「ごめんね!すぐ戻って俺も拾うからさ!!!」
M奈に背を向け、川澄は立ち上がった。
このポップコーンを一人で全部拾うにはおそらく3分はかかる。
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