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甘えた
第7章 07
「おいしかった。ごちそうさま」
食べ終わると莉壱に笑顔を向けた。
片肘をついてこちらを見ていた莉壱が脈絡のない言葉を吐く。
「ねぇ都羽…キスしよっか?」
急に耳に届いた言葉に、あたしよりも先に鼓動が応えた。
莉壱があたしの口元を見ている…力の抜けた瞼でトロンとさせた目元が、男なのに色っぽい。あたしも莉壱の唇に視線を移す。
ゆっくりとテーブルの上で肘を滑らせ、こちらに近づいて来きた莉壱の捲れ上がった上唇に、吸い寄せられるように顔を寄せた。
まるで全身が心臓になったように脈打つ。
さっきだって唇を合わせるだけのキスではないキスを64回もしたのに…
恋愛感情のない気持ちいいキスだって、たくさんしてきたけど、それはセックスの最中の流れですることであって…
言葉で誘われると急に特別な意味を持ち始め、いけないことをしてしまうような…そんな後ろめたさに襲われた。
唇の一歩手前で躊躇した。嫌な予感がする、この先に進んではいけないと…
「ふっ…」
莉壱は小さく息を吐くと顔を背けて腕で口を塞いだ。
「ふぇっくしょんっ」
まるでくしゃみがスタートの合図であるかのように立ち上がったあたしは、食べ終わった食器をまとめてキッチンへと急いだ。
「もー都羽が早くしてくれないから、くしゃみ出ちゃった」
背後から莉壱の言葉が追いかける。
食べ終わると莉壱に笑顔を向けた。
片肘をついてこちらを見ていた莉壱が脈絡のない言葉を吐く。
「ねぇ都羽…キスしよっか?」
急に耳に届いた言葉に、あたしよりも先に鼓動が応えた。
莉壱があたしの口元を見ている…力の抜けた瞼でトロンとさせた目元が、男なのに色っぽい。あたしも莉壱の唇に視線を移す。
ゆっくりとテーブルの上で肘を滑らせ、こちらに近づいて来きた莉壱の捲れ上がった上唇に、吸い寄せられるように顔を寄せた。
まるで全身が心臓になったように脈打つ。
さっきだって唇を合わせるだけのキスではないキスを64回もしたのに…
恋愛感情のない気持ちいいキスだって、たくさんしてきたけど、それはセックスの最中の流れですることであって…
言葉で誘われると急に特別な意味を持ち始め、いけないことをしてしまうような…そんな後ろめたさに襲われた。
唇の一歩手前で躊躇した。嫌な予感がする、この先に進んではいけないと…
「ふっ…」
莉壱は小さく息を吐くと顔を背けて腕で口を塞いだ。
「ふぇっくしょんっ」
まるでくしゃみがスタートの合図であるかのように立ち上がったあたしは、食べ終わった食器をまとめてキッチンへと急いだ。
「もー都羽が早くしてくれないから、くしゃみ出ちゃった」
背後から莉壱の言葉が追いかける。