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甘えた
第9章 09
帰りの駅を通り越してバス停に辿り着く。莉壱が道路に目を配らせながらあたしを建物の壁際に追いやるように退った。

「バスに乗るの?」

莉壱の背後から声をかける。

「んーん、車を呼んだよ。食べ終わったら家まで送るから」

ちらりと顔を横に向けて答える。

「えっ、なんで?電車で帰れるし」

「この格好で電車に乗せられない」

えっ?!まだそんなことに拘ってたの?

「平気だって」

「だーめ、俺が平気じゃない。今日だってずーっと都羽の脚を隠して歩くの大変だったんだから」

「えっー?!そのために前後に並んで歩いてたの?」

「そうだよ」

「…誰も見てないって。それよりも莉壱のイケメンの方が注目されてたよ?ふふっ」

揶揄い気味に莉壱のモテっぷりを褒めてあげた。


「都羽、デート楽しかった?」

急に話が飛んだ。 
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