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甘えた
第10章 10
莉壱が動いた。殴り返されるかもしれないと思って、体を固くしたまま横目で様子を伺う。
スマホを開いて何か打ちこみ始めた。

「ぴーちゃんに謝るよ」

「謝るなら文字じゃなくて、ちゃんと会って顔を見て。ね?」


あたしは鞄を掴み椅子から立ち上がると、さっき叩いた頭をひと撫でする。

「痛かったよね…ごめんね。あたし帰るから、ぴーちゃん家行っておいで」

そう言って逃げる様に莉壱の部屋を後にした。




《都羽》

家で夕食の後片付けをしていると莉壱からメッセージがきた。
さっさと用件を書けばいいのに、スマホの画面を通してあたしの名前を呼ぶ。

《ぴーちゃんと仲直り出来ましたか?》

気にかかっていた事を問いかけた。

《うん ありがとう》

やけに素直な返事にビックリした。

《ぴーちゃんが都羽に謝れって》

《都羽》

《ごめん》

部屋を出る時、謝るのはメッセージじゃだめだって教えたのに…まぁいいか。

《反省したなら 許します》
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